財産開示請求
「財産開示手続」(民事執行法196条)とは、債務者が債務の履行を怠っている時等に、裁判所により債務者を裁判所に呼び出し、債務者の財産を開示させる制度です。
この手続きにより、債権者は開示された財産に対する強制執行をすることができます。
また、間接的な効果として、強制執行を回避したいと考える債務者からは、任意の弁済を受けられることも期待できるところです。
財産開示手続は、2020年に改正され、利用しやすい制度になり、養育費・婚姻費用請求、債権回収の分野では制度の利用が急増し、一般化しつつある状況です。
ところで、債務整理の相談を受けているときに、相談者の方から、「現在借り入れを行っている業者から財産開示請求をされて、給与等が差し押さえられるのではないか」ということを尋ねられることがあります。
しかし、法改正時の2020年から現在まで、上記のような金融機関、消費者金融、信販会社等が個人債務者に対し、財産開示請求を提起したケースは(私の知る限り)ほとんどありません。
同所内で債務整理を行っている弁護士に聞いても、手持ちの案件で財産開示請求をされたことはないとの回答がほとんどです。
理由として考えられるのは、貸金の返還請求をする場合、(養育費請求の場合等と異なり)財産開示請求を行うためには、①まずは訴訟を提起して、判決を得なければならず、②その上で財産開示請求を提起し、裁判所(ないしWEB期日)に出頭しなければならないことから、手間がかかり、マンパワー上の理由から難しいからではないかと考えられます。
個人債権者に対し、財産開示請求されるケースを考えると、少なくとも1000万円以上の高額な借入れがあり、債務の支払いが滞った後、債務者が新たに財産を形成している蓋然性が高いケースに限定されるのではないかと考えられます。
私の案件で財産開示請求を受けたケースは、住宅ローンの支払いが不能となり、強制競売後の残債について、10年以上放置された事案で、銀行から債権譲渡を受けた債権回収会社が財産開示請求を提起したというものでした。
ただし、上記の事案を一般化することはできませんし、少なくとも、財産開示請求がされるリスク自体は残っていることは間違いありません。
支払いが不能になって久しい債務がある場合は、自己破産か時効援用の手続きで債務をなくす必要があるかと思います。
その際は、お気軽に弁護士にご相談ください。


